M&Aで会社を成長させたい。
そう考えて情報収集を始めたものの、気づけば半年、1年と時間だけが過ぎている――。
実はこれ、年商10億円〜100億円規模の企業でよくある話です。買収資金は用意できている。経営会議でも承認は取れている。それなのに、いざ買い手として動き出そうとすると、何から手をつけていいかわからず、結局動けないまま止まってしまう会社は少なくありません。
過去にM&Aを検討したものの、途中で候補が見つからず立ち消えになった、あるいは一度挑戦して失敗した経験があるという経営者も多いのではないでしょうか。
この記事では、なぜ多くの買い手企業が「M&Aを進めたいのに動けない」状態に陥るのか、その理由を整理し、抜け出すための方向性を解説します。あなたの会社だけが特別に停滞しているわけではありません。
なぜ買い手は動けないのか
理由1 進め方がわからない
書籍やセミナーで「M&Aの一般的な流れ」は学べても、自社が実際に何から着手すべきかは誰も教えてくれません。ソーシング(案件探索)、条件交渉、基本合意、デューデリジェンス(DD)、最終契約、PMI(統合)――工程は多岐にわたり、社内に経験者がいなければ最初の一歩すら踏み出しにくいのが実情です。M&Aの成約までは一般的に半年〜1年半程度かかるとされ、長丁場になるほど「今の進め方で合っているのか」という不安がつきまといます。

理由2 専任の担当者を置けない
M&Aは片手間でできる仕事ではありません。しかし多くの中堅・中小企業では、経営企画や事業部長がM&A業務を「本業と兼務」で担当することになりがちです。結果として、日常業務に追われて案件検討が後回しになり、いつまで経っても具体的な話が進みません。「誰がこの案件を担当するか」を決めないまま走り出し、途中で担当者一人が疲弊してしまうケースも珍しくありません。専任者の採用や育成には時間もコストもかかるため、そもそも体制を作ること自体が高いハードルになっています。
理由3 リスクを一人で背負いきれない
簿外債務、キーマンの離職リスク、許認可の承継問題――M&Aには様々な見えないリスクが潜んでいます。これを一人の担当者や経営者だけで判断しようとすると、「本当にこの会社を買って大丈夫か」という不安が拭えず、決断が先送りになります。特に未経験の買収案件では、何をどこまで確認すれば安心できるのかという基準自体を持っていないため、慎重になりすぎて機を逃す、あるいは逆に十分な検証をせず見切り発車してしまう、という両極端な結果に陥りがちです。
動けないまま時間だけが過ぎるとどうなるか
「待ちの姿勢」でいると、良い案件から他社に取られていく――これが最も典型的な失敗パターンです。優良な売却案件は、市場に公開されてから24時間以内に数十件の問い合わせが集まると言われています。仲介会社や金融機関の担当者から「良い話がある」と紹介を受けても、社内の検討体制が整っていなければ、動き出す前に他の買い手に決まってしまいます。
また、仲介会社に任せきりで「成約すること」自体が目的化し、DDが形式的になった結果、買収後に簿外債務やキーマン離職が発覚して当初の想定を大きく下回る成果に終わる、という声もよく聞かれます。仲介会社の報酬は最低でも1,000万〜2,500万円程度が相場とされ、たとえば譲渡対価3億円の案件であれば、仲介手数料約1,500万円、DD費用約200万円、社内人件費500万円以上を合わせて、総コストは3億2,000万円を超えることも珍しくありません。この投資に見合う判断ができるかどうかは、案件を見極める体制があるかどうかに大きく左右されます。
解決の方向性:動けない状態から抜け出すには
こうした状況を打開するために重要なのは、「社内に専任チームを作る」か、「実務を代行してくれるパートナーを持つ」かのいずれかです。社内で専任チームを組成できれば理想的ですが、採用や育成には時間がかかり、案件が来るまで固定費だけがかかり続けるという課題もあります。
そこで近年増えているのが、案件探索から交渉、資料作成、進行管理までのM&A実務を、外部のプロフェッショナルに代行してもらうという選択肢です。いわゆる「M&Aプロセスアウトソーシング(MPO)」と呼ばれる手法で、社内に専任担当者がいなくても、買い手企業の「社内M&Aチーム」のように動いてくれる外部パートナーを活用する考え方です。助言だけを行うコンサルティングや、成約を前提に動く仲介とは異なり、実務そのものを引き受けてもらえる点が特徴です。
案件探索についても、プラットフォーム・仲介会社・士業ネットワーク・金融機関・直接アプローチという5つのルートを併用することで、待ちの姿勢から脱却し、良質な案件に早期にアクセスできる可能性が高まります。一般的に、100件のノンネーム(匿名情報)接触から10件程度のIM(企業概要書)検討に進み、最終的に1件の成約に至るというのが目安とされており、母数を増やす動きそのものが成約確率を左右します。またDDについても、スコープを適切に絞り込めば100万〜300万円程度に費用を圧縮しながら、重要なリスクを見落とさずに検証することも可能です。

こんな会社ほど「動けない」に陥りやすい
実際に相談が寄せられる企業には、いくつか共通点があります。
ひとつは、経営者自身がM&Aに前向きでも、社内に賛同者や実務を回せる人材がおらず、結局トップが一人で情報収集から資料の読み込みまで抱え込んでしまうケースです。
もうひとつは、過去に一度検討したものの候補企業が見つからず、そのまま担当者が異動や退職をしてノウハウが社内に残らなかったケースです。
いずれも「本気で買収したい」という意思はあるのに、実務を前に進める仕組みがないという点で共通しています。
こうした会社が自社だけで体制を整えようとすると、専任担当者の採用に半年以上かかったり、ようやく採用できても一人では5つのソーシングルートを同時に回しきれなかったりと、結局スピードが上がらないまま時間だけが過ぎていくことになりがちです。だからこそ、最初から実務を代行できるパートナーと組み、社内の負担を最小限にしながら案件を前に進めるという発想が有効になります。
まとめ
「M&Aを進めたいのに動けない」という状態は、決して珍しいことではなく、多くの買い手企業が通る道です。原因は経営者や担当者個人の能力不足ではなく、「進め方がわからない」「専任者を置けない」「リスクを一人で判断できない」という構造的な課題にあります。だからこそ、社内だけで抱え込まず、実務を任せられる外部パートナーの活用を検討する価値があります。
株式会社Aspire Partnersは、買い手企業の「社内M&Aチーム」として、案件探索から交渉、資料作成、進行管理までを一気通貫で実務代行しています。売り手から手数料を受け取らない立場だからこそ、買い手の利益だけを考えて動くことができ、「買わない」という判断も含めてサポートします。M&Aの一歩を踏み出せずにいる方は、まずは無料相談から、自社に合った進め方を一緒に整理してみませんか。